2012-01-01から1年間の記事一覧
朝。食事のあと、どんづまりの空き地までぶらぶら足をのばすと、いつのまに仮設フェンスのようなものですっかり封鎖されていた。なんだか「ここで自堕落かつ不健全な空想をしてはいけません」と、文明や建設的で健全な一般社会というやつそのものから締め出…
例年どおりクリスマスとは関係なさそうな場末をなんとなく巡る。どうにも自転車をこぐ足が芯から冷える感じで感覚が鈍ったり動かすのが億劫で、それで今年の冬は寒いという噂をわりと真に受けていたんだけど、「皮下脂肪が減ったせいじゃないか」と指摘され…
雨上がりの夕暮れの森を歩くと深い霧だった。外灯の場所がぼんやりとした緑色の光の柱になって奥まで続いている。真っ暗になってもしばらく歩き回り森をぬける。つめたい湿気をずっと吸ったせいか、なんだかさめざめとしたような、だぶだぶしたような気分が…
文庫本を積んだのを切り崩すと綿棒が何本もばさばさと溢れて出て床にまき散らされたのをみて何かに似てるけど思い出せなかったやつは、酒に酔った祖父が「日本海軍がバルチック艦隊を破った話」をするのに床に楊枝やら箸置きを並べていたやつだった、という…
iydさんが日記に子供時代の「こおり鬼」のことを書いていて、「あったなあ、懐かしい。。」と子供の頃の遊びのことをあれこれ思い出していた。 自分らの方でもこおり鬼はあったけれど、どうもルールがよく思い出せない。こちらの地方では「鬼に触られると氷…
山深い緑をかきわけていくと突然巨大な石像のキューピー人形の頭部が現れる。小さな家くらいの大きさがあり、植物に侵蝕され朽ちかける様がまるでアンコールワットのように見える。頭が置かれているところだけ木や草が開けているので眩しい陽があたっていて…
○○の日を境に何もかも変わった気がするのは気のせいで、それまで自分が好きで読んだり観ていたものを作っていた人たちが言うことや作るものが変わったのを見て、単純に感化されたりただ気分的に表面的に影響されただけで、本当はなにも変わっていないし考え…
もうそろそろどうだろうか?と、ゆりこさんの富士日記が読みたくなって部屋中探すも出てこない。(ただ本棚に戻すのが面倒なだけで読み途中というわけでもない)枕元に積んだ裸の文庫本を見ていくと、切り崩した山の断層から耳垢と埃まみれの大量の綿棒がば…
寝ていると大きな地震。起きて寝ぼけたまま倒れそうなものを支えたりした後また寝る。起きると長い夢の余韻があるがきれいに忘れている。夜に散歩。広場を見渡すベンチで一服していると、ヘルメットとアメフト選手のような派手なプロテクターをつけた人が自…
昨夜、近所で通り魔事件があって中年の女性が刺されたという。そのせいなのか朝の通りをゆくとパトカーが何台か行き過ぎ、空はつきぬけるような秋晴れである。つめたい壁ぎわの狭い路肩を自転車をこいでゆく。すぐ脇を次々風をきり追い抜いてゆく車に神経質…
おお、これは光栄の初期の三国志じゃないか!となぜだか嬉しくなり、いそいそとプレイしてみる。グラフィックはMSX版の1と2の(それぞれ好印象の方の)ものが混じっていて懐かしい雰囲気だが、内容は微妙に違っていて記憶にない細部が追加されている。復刻版…
夕暮れの公園でシャボン玉を作る人がいる。まだぼんやりとした明るさがとけ込む物憂い空気を、つめたい風ににじむ街灯の光を、大きな泡が森の夜陰へ絶え間なく運んでいく。それを追いかける子供が黒い木々の間に消えたり現れたりする幻じみた情景を眺める。…
不意打ちで多部未華子の巨大な顔面がモニタに展開したのを観たとき*1、「わ、女だ」という思いが浮かんで一瞬で消えた。なぜ「女だ」などということを突然思ったのか、「なんなんだそのわけの分からない態度と感想は」ということを考えながら夜明けの路地を…
下駄箱の靴が黴びそうだから気をつけたほうがいいという話になり、気になって眼の届かない場所から革の半靴を出してみると、つま先の方から毛羽立った緑灰色が点々としていた。すぐに便所紙でごしごしこすってみるとそれは取れたが、まだうっすらとしたシミ…
ぼけた視界がしだに像を結び明るい室内。ところどころ剥げかけた畳、ちやぶ台のうえにポツンと湯のみのお茶。そこは三宿の"陰鬱な森陰の泥沼に浮かぶ船のような長屋"の一間で、机に向かって書きものをする林芙美子の粗末な着物の後ろ姿がみえる。ぼんやりと…
午後から町外れをうろうろする。晴れて明るいけど冷えるのでセーターとてぶくろ。ひなびた路地裏から路地裏へ転々とするうち陽は陰り、ファインダーを覗くたび側溝や枯れ草だらけの植木鉢やくすんだモルタル壁の陰からみるみる青ざめる。冬に向け、肌にあた…
佐藤さんのことが頭をぐるぐるして寝られなかったり、どうにもならず、とりあえず吐き出そうと長々と作文をする。ああでもないこうでもないと考え込んでいたら今度は具合が悪くなってきた。いったい私は何をしてるんだとろう?と、急に我にかえる。台所で柿…
ずっと佐藤さんの件が頭のなかをぐるぐるして弱る。夜。ふとんの中でどうにか落ち着いたので寝れるかなと思ったら、今度は佐藤さんともニューウェーブみたいなのともまったく関係ない思い出の音楽が頭の中でいくつも重なって一斉に流れはじめ、それが鎮まる…
また佐藤さんの話なんだけど、この前の2人の佐藤さんと別の3人目の佐藤さんのこと。 最後に書き込んで以来、疲れたかめんどくさくなったか他の理由かでツイッターを見ていないのだけれど、なんとなく古い知り合いのつぶやきを遡って見ていて、あの特別なバン…
普段は大勢の人でにぎわう感じだが、その時は落ちつきしんと静まりかえった空気。視界はやや黄緑がかって彩度が低く陰が濃く画素は細かい。大きな屋敷のコの字型の長い回廊はぜんぶガラス張りで、そこにかけられたカーテンの隙間から中庭の青々とした芝生が…
貝殻収集家という人の話を聞いていた。私が子供の頃にどこかの海辺のみやげ屋で買った貝殻は「タカラガイ」という名前らしい。タカラガイにもいろいろな種類があって、その人の図鑑によると、私のは「ヒョウダカラ」か「ホシダカラ」のように思えた。 水の中…
そういえば子供の頃「ひとのせいにしてはいけません」と習ってきたけど、自分の日記はずっと「知らない奴がいる」だの「ほんとうに私の意識なのか?」だの、けっきょく自分の都合次第で、いろいろ書いたところで全部手の込んだ「人のせい」じゃねえかいい加…
特別な感じの人からお便りが来たので、じっくりとよく考えて返信したのだけれど、ああいう内容で良かったのか、返信したあともなんだか腑に落ちずに引っかかっていて、それがなにかに似ているなと考えていて出た答えが「寅さん」だった。過去に特別な感じの…
駅に降りると日が暮れかけていて、そのまま川のほうへうろうろしにいった。風が吹いて寒い河川敷はひとけがない。荒れた草地をかきわけて流れのそばまで降りていくと、川のにおいと音がする。そこは流れが急に深くなっていて、とぷとぷと、ゆったりとなにか…
長い夢をみて目覚めた。途中で起きて夢の出来事をメモしてまた寝て、また起きてメモしてということをくり返したけれど、それらまるごとぜんぶ夢だった。生々しい印象があったんだけど起きたらきれいに忘れていた。聞いたこともない苗字と名前が出てきたけど…
私は本当に入力したいこの楽しさは、"私は印象か何かを持っていた、私が言う、面白いだけでなく、しかし、私が何も言うことができないという気持ちがあること本当に、徐々に趣のあると言うと彼らが感じる感情は漠然とした言葉であり、何がこの感覚ですが、私…
いちばん身近な人との思い出の歌はたくさんあるような気がするけれど、思えばどれも私が勝手にさし出したものばかりで、本当にふたりの思い出なのか分からない。 相手に、勝手にあれこれ差し出すようになるより遥かむかし、その歌ははっきりと相手のもので、…
斉藤清六の「ぎんぎらぎんにさりげなく」とキャバレーボルテールの(半端に)電化ダンスポップ化した80年代中期のライブ版*1とをミックスしようとするが環境がないので、頭の中でどうにかしようとしていると瞼の裏にうっすらと明かりがさし、ぼんやりした情…
ふとんに入り眠りに落ちるまで、佐藤さんのことを考えていた。あのころ、自分はなにを好きになって、なにを欲しかったんだろう。 なにか「ちょうどよいもの」という好きになり方があるだろうか。いったい、どういうふうにちょうどよいのかは分からないけれど…