2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

方眼紙の中の散歩

未明。食事に出るとみぞれ。帰りにはだいぶ雪らしくなっている。横断歩道ににじむ赤信号を車の往来が消したり灯したりするのを、ぼんやり眺める。理解できないタイミングで踏切が降りたまま回送車両がノロノロ通り過ぎる間、スクーターの運転手が「さっさと…

ゆめうつつその他

22日未明。 郵便局、牛丼屋。あまり寒くない。帰り道に空が白む。淡い水色の雲、切れ間にさす桃色。オパールのような遊色。シスレーの絵のような、茫洋としつつも透明な空。 23日未明。 寝床でしばらく雨の音を聴く。すぐそばの雨の音はエッジがあり粒立って…

へんな店

地元のバス停の前にごく小さな商店街のようなのがあって、だいぶ前からシャッター街になっている。 ある昼下がり、そこをぶらぶら散歩する。いつもはガランとしてひとけがないのだけど、その日はまばらに人が往来している。半ズボンを履いたどこか懐かしい雰…

こういう感じの方がアイツは喜ぶから

私が通う高校の学園祭でブルース・ウィリスを招くことになった。「ブルースを呼ぶ委員会」の実行委員長は小川さんだった。当日。机や椅子が片付けられ伽藍とした教室の窓や壁には暗幕がかけられ、蛍光灯が冷たく陰気に光っている。きれいに掃除されピカピカ…

ゴメイトー

よふけ。暗渠の緑道で缶コーヒーを飲む。砂場のへりの石に腰掛けると尻から寒気がのぼってくる。立ったり座ったりをくり返し、煙草をすう。遠くのビルが屋上から蒸気を吐いている。生き物が呼吸するように間歇的に湯気の塊を吐き出す。それに街の灯が反射し…

他人の青春

ヘ先生があのアパートから引っ越すという日記を読んだ。すぐに思い出したのはやんご先生著の「ぐっべい青春」で、「ぐっべい青春」はワケあってテキストを何度も読み返したり再構成したこともあって強く心に刻まれているものだから、へ先生の引っ越しの文章…