廃屋か改装中の建物? むき出しのコンクリの壁に立てかけられた、一枚づつ額飾されたB全サイズほどの商業ポスターのようなものを大根泥棒氏とめくって見ている。ポスターはモノクロの写真になにか言葉が添えられただけの簡素なもので、女学生が荒れ地のようなところに立っているやつがいいなと思うと、それはニューヨークだかどこだかで活動している日本人女性二人のデザイナーによる作品らしく、いつだかどこかで他の作品をみた時もなんか心に残ったような気がしたっけ?と思いだす。
 ひとけがなかった改装中の建物にいつの間にか人が集まり出し、酒を作る人や壁際に座って何かを即興で演奏している人がいる。なにか始まるのかな?と思う。(よくかぶっているのをみかけたような)黒いハットと、肩がとんがった黒い革のトレンチコートを着た高橋幸宏がやってきて、地べたにすわって演奏している人の前で、音楽に合わせて即興で踊り出す。テレビ越しだと物静かな人のように見えるけど、業界人みたいな人は実際はやはりすげえもんだな〜と感心して遠巻きに眺める。(10月上旬)

 私が生まれて初めて好きになった女性が中年となった現在の姿で、なにかの宮殿か博物館の入り口のような白い石の大きな階段を歩いていく。通行人は誰ひとりなく撮影用のセットのようにも見える。どことなく無理しているような化粧や服のせいなのか、短く刈った髪がうなじの上で揺れるあたりから、やつれたような老けた感じをうける。なぜだか布施絵里みたいな感じもする。(私が生まれて初めて好きになった女性と布施絵里はぜんぜん似ていないはずなのだが、私は夢の中で女性を見ると「布施絵里っぽい」と思うことがなぜだか多い気がする。テレビもまったく観ないし、布施絵里以外の有名人をどんどん忘れているんじゃなかろうか。じゃあ布施絵里とは自分にとってなんなんだということになるのだが)
 それは、どこかの芸能プロダクションかなにか?の所属タレントを紹介するDVDだかインターネット上のサイトの映像で、左下の方に出てくる他の所属タレントの項目を見たりして、へーと思う。宮殿は本物っぽいし、なにかどうだというわけではないのに、どことなく安っぽいというか、インチキくさい感じがする。女は時代がかった地下鉄の入り口ような階段を地下に消えていく。
 夜。密集した古い民家の細長い庭のような路地のようなところに、その女が木製の陽物を埋めている。黙々と作業するその後ろを抜けて通りに出ると、その家は駄菓子屋で、入るとひとけはなく店主にそのことを話してみる。店主はもともとお坊さんだったそうで、やたらと包容力のある雰囲気で、こちらの話をじっくりと聞いてアドバイスのようなことをしてくれるが、起きたら内容はさっぱり忘れていた(とくに内容はなかったのかも知れない)。(10月上旬)

 「田」の字の中の「十」部分をどれだけ崩して簡略に書いても「田」の字に見えるものかと、「田」の字をえんえん書いている。白い紙に黒い先細の水性ペン。書いている途中で夢だと気付き、我ながらなんてバカバカしい夢だと、おかしくなって目覚める。(10月上旬)