いつも自分の外側にあって指をくわえて眺めるものがロックだった



 見慣れぬナニを辿ってみるとネトラジの頃のお知り合いのつぶやき。数年ぶりで懐かしいなあ〜と、また長々と私信的な作文をして一旦は投稿したんだけど、うーん、また人様の行いの感想文かよ、、と反省してとりやめるなど。その方の日記に年越しの真夜中に栃木の国道沿いのさびしい道を家まで13キロ歩く実況という音源があって、二人の中年男性が「すげえ寒い」とか「脚が痛い」とか「腰が痛い」とか、「マクドナルドの看板だべよ」とか、「元旦の月はなかなか高いところに在りまして」とか、突然水の音がしたかと思うと「ぅぁあなんだこれ、すげえあったけえ!」とか、路傍のお地蔵さんに「hey happynewyear!! 死んでるかい?」とか、いろんな事をぶつぶつ言いながら延々と歩いている。その感じが、気分が沈んで椅子の上でぐったりしていた自分にちょうど良くて、ずっと呆然としながら聴いていた。
 歩く二人はだんだん無口になっていって、しだいに足音と息づかいと時おり通り過ぎる車が風をきる音ばかりになって、最後に疲れきって家に着いたころ僕の部屋も夜が明けた。*1









 「食べ物を不味そうな色にするな」と人に言われて、確かにそうだ仰るとおりだし言われなくても分かっているけど、クセというか無意識というか気の済むようにすると不味そうになってしまう。「広場の先には森が広がっていて、すぐ目の前ではカツみたいなのが串に刺さってるんだよ、その物質感がどうたらこうたら、、」などと咄嗟に口がすべるが、物質感どうこうと言ったところで自分でも何がしたいのかさっぱり分からん。ああ、自分の日記を開いた時にうまそうな色をしていると腹が減って自爆するからか、今度その話になったらそう言うことにしよう。それともオガーさんに習って「こっちのほうがロックだから」とでも言ったらどうだろうか。自分の思ったとおり気が済むようにやるのはロックなのかも知れないけど、多分ごちゃごちゃアレするのはロックじゃないんだろうな。難しいな。ロックなんか知らねえよ。



 昼休みに中野の街をうろうろしている。赤と黒の中古品店に入ると、長い階段の端にずらっと大勢の人が並んでいて、それぞれレコードを手にレジを待っているように見える。階段の中央も特設の売り場になっていて、なにか一枚取り出してしばらく迷ったあと元に戻す。いつのまに置いてあるのはレコードではなくB級映画のポスターやチラシに変わっていて、その中に紛れ込んでいたファミコンウィーザードリー3の大きなチラシを引っぱりだす。不織布のような不思議な感触の黒い紙で、そこに細い白抜きの手書き文字で関係者の言葉がびっしり書いてある。二カ所に店のpopが貼られていて、それで手描きイラストの部分を隠しているらしい。よくよく見ると他店の値札が貼ってあったりして、委託販売なのかナゲヤリな転売なのか、なんだろうなあと気になりつつも馬鹿馬鹿しくなって元に戻す。事務所に戻ると10mほどの高さの鉄棒の上で回転することになっていて、それが仕事なんだという。夢に出てくる中野の街はいつも同じで、ブロードウェイの南東側は現実とほぼ変わらないが、北側に抜けるといろいろめちゃくちゃになっている。むき出しの石の壁と緑色の照明の地下街もかっこよくなっていて、出口付近の喫茶店がいつも目にとまる。

*1:めも)フライミーツーザームーンの没版バックトラック / 君のボディはノーボディ