カレーという庭


 噂どおり特徴のない平凡な味に思われたので、食べすすめる上でのルーとライスのバランスは勿論のこと、舌に接触する際のルーとライスの比率とスプーン上での位置関係に最大限集中すると同時に、スプーンは小さなカレー皿であり、世界を映す鏡であり雛形、ひとつのミクロコスモスであるという壮大なイメージと戯れながらカレーをいただきました。


 小川さんの(定規を壁に貼るなどの)こだわりの部屋撮りに触発され、"音と食"をテーマに撮影。カレー表面に踊る緻密な脂や米の透明感を際立たせるライティングと色温度、もちろん選盤にもこだわりぬきました。それではいただきます。
 「カレーは飲み物」とか言ってた人は死んじゃいましたが、「カレーは庭」とか言ってる人も遅かれ早かれです。カレーの中に映る人を撮ったやつは、もしワタスがアーティスト小川直人のアー写を依頼されたら是非提案したいアイディアです。或はジャケ写。表ジャケの幻想的などアップから裏ジャケで少しひいて、中ジャケでついにカレーの全貌があらわになるという展開/日常に潜むドラマツルギーみたいなことをいっちょプレゼンしてみたいです。