絵にかいた虫


 実家の庭のすみを掘っていると巨大な幼虫が出てきてびっくりする。スイカぐらいある。気持ち悪いので埋めもどす。一晩考えて、巨大な幼虫が大金になるんじゃないかと考え直す。また掘り出し、庭の真ん中の芝生の上に置く。煙草の箱を横に置き、何枚も写真を撮る。とてもよく晴れている。
 研究所、博物館、金持ちのコレクター、バイオ関連企業 、、どういうところに売ったら大金になるのだろうかと考える。新種というより突然変異な気がするから、現場の土もお金になるだろうか。幼虫単体、新種だった場合の命名権、土の調査権を別売りにしたほうがいいか、セットのほうがいいか、などと悩む。(土壌→肉への還元率が高いので)将来的に昆虫が人のタンパク源になるとかいう話も聞くから、ひょっとして世界的な食品会社も興味を示すかもしれない。何億〜何十億というお金を想像する。
 しかしなんのツテもないので、某巨大掲示板に「巨大幼虫をみつけんたんだけど、どうしたら大金になるか」というスレッドをたてることを考える。画像の縮小率やら、小出しにした方がいいのかとか、無断転載禁止にすべきか、そうじゃないかなどと悩む。まとめやらアフィリエイトサイトが自分の金儲けの広告になるのを想像し、ざまあみろとほくそ笑む。
 大金に化けたらいろいろ危険だから、引き渡しは駅前の交番の前にしたらどうだろうか、そんなことをしたら余計ややこしくなるだろうか。第三者をたてるべきだろうか。法律家に頼んだらどのくらいお金がかかるかなどと考える。
 それとも、自分で飼育して観察日記をつけ、出版社に売り込むのはどうだろうか?などとも考えるけど、めんだくさいだろうからやる気が起きない。成虫して巨大な蝶やらカブトムシになったら写真集にしたらかっこいいだろうな。幼虫発見からお金になるまでのドキュメントにしたら面白いんじゃないかなどと、あれこれとずっと考える。
 とにかく、幼虫にまったく興味がない上、気持ち悪いから、はやく手放したいとか、忌々しいとか、なるべくお金にしたいなどと貪欲に考える。
 プラスチックの大きな盥に入れ、蓋をして土に埋め戻しておいたのを掘り出す。中をみると幼虫は跡形もなく消えていた。そんな夢だった。

 夢に出てきた映像は、幼虫を掘ったり、写真撮影のシーン、駅前の交番に幼虫の入った盥を持っていくところ以外は、ほぼPCの画面だった気がする。目覚めてもなんだか気分が悪い。