どぶにピザ

 明け方。ふと確認したいことが出来たので、薄明をもがいて目当てのレコードをがさごそする。蓋をあけターンテーブルに載せてかけてみたら、盤(の接地面側)が一撃で埃につつまれ、あわわわ、と取り乱す。埃だらけの部屋から守るため、ずっと蓋をしていたのに、この埃はどこからやってくるのだろう。そしてこのナウいタイポグラフィが印象的な「ラブ」というシングル、果たしてどんな内容だったのか。。記憶がもうやばい。
 夜。そこいらへんに掃除機をかけ、水拭きしてみる。雑巾だと細かいところが拭きにくそうだったので、「べっぴんさん」という洗剤いらずの薄手の布を使ってみる。昔よく名前を聞いたような気がするけど初めて使う。しぼるたびになんだか掌がヒリヒリして、皮膚が削られてるように錯覚する。いつぶりの掃除だろうなあと考えながら黙々と拭く。一拭きごとに、いろんな反省やら、やらなければいけないアレコレが次々と胸に迫り、嗚呼、、となる。だいたい眼と手の届くところを拭いて終了。

 日記を更新中、昨日の作文の「胸キュン」などというフレーズがちらちら視界に入ってくるたび、「胸キュンじゃねーよ、あほ」と自分に対して激しいアレがこみ上げてくるのだけれど、昨日は昨日で正直に、今日は今日で正直に書いてみると、こんな具合になってしまう。正直もう少しどうにかならんのか、これじゃあ分裂症じゃないかとげんなりするのだけど、これが、ありのままだし、少しでも体裁(体裁?)をアレしようと無理するともっと酷いことになりそうなので、しかたない。

 大根泥棒氏がちょっと贅沢な感じの宅配ピザの無料券というのを貰ってきたので、久しぶりに贅沢な夕げとなる。ふつうの宅配ピザでもアタスには充分贅沢だけども。マルゲリータみたいな石焼ピザと、タマネギとなんかのペペロンチーノと、鶏肉となんとかのグラタンと、なんとかかんとかというサラダがセットで届く。冷めないよう少しずつ開封して一品づつ食べるか、冷めるのを覚悟で贅沢に一気にテーブルに並べるか、みたいなことで多少もめつつも、普段のアタスの食事に換算しておよそ30〜50食分に相当する宅配イタリヤンを前に、さすがに割合なごやかな雰囲気の食事となった。普段食べ慣れないものだったせいか、明け方に無性に腹がへる。
 人が作った料理に「うまいか?」と訊かれれば、「ものすげえうまい。ただ極限まで腹が減っている自分の味覚はあてにならないから、普通の感覚だとどうなのか分からない」と答えたり、帰省中、実家で「何が食べたいか?」と訊かれれば、思いつくものがチーズやら肉やら脂っこいものばかりなのでいろいろ迷った挙げ句「太りそうなもの」とリクエストしたり、食に関する心ない発言でずっと人の顰蹙をかっている。アタスの作文を読んでいただければ「『貧ずれば鈍ずる』ってこういうことか」と、どなた様にも納得していただけるような気がするのです。