にせ音楽ファン手帳

 すきすき○○ッチに触れている人様の日記を読み、すきすき○○ッチのことを少し考えていた。
 少しまえに人様のツイッターで再発(再再発)されるという話はぼんやりと読んでいたのだけれど、「おお、まさかあの方もそういうの聴かれるのか」という、勝手な先入観で勝手な感慨を一方的に持ってしまったという。。思えば館ひろしやら近頃の日記ではチャゲアスにまで言及されていたし、自分などよりよっぽど手広い方なのだけれども。
 ――なんか皮肉っぽい感じだから補足すると、モーニングムーンとか万里の川とか、ちょっといいと思っても自分にはまだ真っ正面から向き合える覚悟とか度量が足りないつうか。じゃあ覚悟ってなんの覚悟だよっていうと、(いかに安かろうが)対価のようなものを支払い、自宅の棚なりパソコンのHD内にそれがしのスペース(容量)を割いて迎え入れ、きちんと向き合おうとする覚悟(or余裕or諦念)というか。。私なんか堂々たる中年だけどやっぱりぜんぜん青二才で雑念だらけなのでそういう境地にはまだまだほど遠いと思い知らされるのです。コレクターですか?と訊かれて上っ面では全力で否定しつつも、棚にあるものは好きで買い集めてきたものという本音が絶対ある。「たまたまそこにある」(某氏の作文を読んでいて感じる印象)ぐらい達観できる日がいつか来るのだろうか。――

 まえによく思い入れたっぷりに「すきすき○○ッチがとても私の性に合う」みたいな作文を書いていたので、自分の感性みたいなのを試されるようで、ちょっと怖いなと思った。ユーチューブにアップした音源を聴きかえした。それからアルバムで聴き返そうと、ソノシートをプレーヤにセットしてアンプの電源を入れて針を置くまでの気力はハナからなかったので、棚に手を伸ばして再発CDを取り出し、ジャケの表裏を見て、ケースを開いてCDの盤面を眺めたところで、、ちょうどそこで気がすんだ(満足した/落ち着いた/ちょうど気力が尽きた)ので、そっと閉じて、棚の奥の埃がかからないところに戻した。
 自分はすきすき○○ッチに対しては、他のアーティストを「いい」と思う感覚と、またべつの感覚で、なんか「いい」と思える感じ(ざっくりいうと「別格」?)があるんだけど、前からそれがなんなのかよく分からない。
 自分がなんか「いい」と思う場合、「これはなんだか本当にいいような気がする」と割合真剣に「いい」と思って聴いているパターン(A)と、本当にいいと思ってるんだか全部気のせいなんだか分からなくなって、「もう良かろうが悪かろうが全部おれの気のせいってことでいいじゃん」と投げ出したような気分で「いい」と思ってるパターン(B)(ドーラウっぽいやつ)に分けられる気がするんだけど、すきすき○○ッチに関しては、なんかABどっちも分ちがたく同時にあるっつうか(どっちだか分からないっつうか)。。 まあいずれにせよ、とても個人的なアレになってしまうのだけど。
 ――パターン(A)の場合は、無意識に「分かってる俺」モードになってるんだと思う。冷静になれば全ー然なんも分かってないんだけども。 パターン(B)における自分は、ただひたすら不能感、無能感に満ちているのだと思う。どうせなんも分からないと諦めてる。ただひたすら無力感を感じつつ「いい」と思うっていうのも変な感じだけど、、、目の前の作品は現実にそこにあるけど、どうせ感じたり感動したりしてる自分はウソ、全部気のせいだけど、それでもいい、気のせいだけど(そういうのもひっくるめて?)いいんだっていう、なにか反動的な歓びというか。そんくらい諦めたり大雑把にならないと気づかないような良さというか。。――

 そういう、AとBが同時にあるだとか、聴いていてなにか分離してるような自分、自分の思ってる自分と別の(本当の?)自分(ひいては、音楽のようなものを聴いている自分。鑑賞者、消費者としての自分)に向き合わされるようなところがある。他に曲単位でぽつぽつそういうことはあっても、作家単位でとなると、すきすきぐらいになってしまうような気もする。それはすきすきが他の作家に比べて優れてるとか劣ってるというより、この佐藤某という人のやり方がたまたま私の感覚にフィットしていただけという気もする。だからきっと皆さんにそれぞれの「すきすき」的な、なんか特別な作家があるような気がする。

 再発にあたって、なんか俺にハっと気づかせてくれそうなアレでもないか、すきすき○○ッチのなにがいいんだか俺に教えてくれ、、と、ネット上での評判みたいなのをいろいろ漁ってみたりした。長々と書いてるのは、だいたいおっさん(orおばさま)が出てきて思い出話風なのが多かった。自分が前に書いた感想も引っかかったのでどんなもんかなと読み返してみたら想像を超えて白痴的な作文で(つうか解体してて、何を書いてるのか意味が分からない)ぐったりしてしまった。まあ今も人の中身は変わりないけど、なんかもっといろいろひどかったですよ。