夢のp処理、つなわたり手帳


 仕事で医療関係の広告のようなものを印刷所に入稿し、返ってきた色校(色校正)をチェックする。なぜか大きさがA倍くらいあって、これまで見たこともないくらいでかい。印刷も金がかかるのだろう、全部刷ってなくて部分的に色が載っている感じ。余白部分に印刷に関することが赤文字でいろいろ細かく解説されている。個性的な職人っぽい人が印刷したようだ。そして医療関連の内容のはずなんだけど、見た目がどう見ても月刊イヤダpt.2。*1 こんな色校は見たことがない。大手の印刷所ではなく街の小さい印刷所はこういうものなのだろうか?と思う。
 例えば入稿データでは黒一色であるはずの背景には赤字でこう書いてある。

 なんとかかんとかにスミ90%をかぶせ、そこに「p処理」を施しました。文字の滲みで80年代っぽい雰囲気を出しました。 〜中略〜 サッカーなんとかの試合はなんとかかんとかである。UFOは人間一人一人の守護天使です。云々。

 よく見ると背景には微かに小さい英文字が潰れたやつが羅列してあり、これ印刷所で勝手にやったのか、すげえなと思う。「p処理」というのがよく分らないのだが、表面加工みたいな印刷なのだろうか。細かい波形のちりめん模様が浮き出て見えるようになっている。最後の2点は印刷とまったく関係ないことで、どうやら昨日のTVの話題のようである。印刷の説明をする流れで冗談として書いてあるみたいだ。とにかく意欲的というか野心的というか、未曾有の色校である。
 どうやって校正すべきか迷う。そもそもこんな凝った印刷にして料金は大丈夫なのだろうか。同じ値段でやってくれるのかどうなのか云々。こちらからも簡潔に指示するべきなんだけど、なんだか言葉を選んで慎重に書かないと(この、やる気まんまんの)印刷所の人の機嫌を損ねそうな気がして思い悩む。赤ペンで指示を記入し始めるが、誤字とか間違ったりしたとこを赤く潰して修正するうち、どんどん汚くなる。そもそも色が部分的に載っている色校なんて色校の意味がないじゃないか?と思い始める。そして入稿時に背景をスミ一色にしたか、CMYを混ぜて配置した写真が浮かないように指定したか、というところまで自分でも覚束なくなり、不安になって悶えていると目が覚めた。。

 ついに夢に作業(月刊イヤダpt.2)の映像が出てきた。なんだかんだで初めてのような気がする。
 出来るだけ「手間はかかるし、やってる本人は真剣なんだけど、ばかばかしいこと、人のやくに立たないことを」と考えて日記を更新しているけれど、夢の捕獲というのは、かなり人のやくに立たないわりに手間がかかるもんだと思う。おちおちしてると手をすり抜けて、あっという間に逃げていってしまう。鼻をほじくりながらサッカーを観たりメシでも食おうものならすぐさまである。そして、文章として固定するために下手に整理したり辻褄を合わせようとすれば、一発で儚い雰囲気が損なわれたりもする。儚さを壊してまで記録されたそれは「かつて夢だったもの」「夢の残骸」でしかない。つまり夢との接触もjk氏が云うところの「ストロベリー一会」の一例である。(あ、そういえば、物と物の出会いは「波と波の出会い」という(jk氏流?の)量子力学の言葉は、くそ詩的だなあ。。)
 夢を手に入れるには、そもそも固定するのを諦めるか、高度な詩性と観念性をも定着再現しうるような文章の方法と技術を知り、言葉をもう一度探しなおすしかない。夢の記録はむずかしい。今やってるのは出来るだけ記憶が新鮮なうちに闇雲に固定し、細部まで再現しようとしてるだけで、ただ身の回りに残骸を増やしてるだけだ。

 人のやくに立たないことというのも、なかなか難しい。もともとワタスは人のやくにたつことが出来なかったり、分らなかったり見失っていたりするから、簡単なようで、完膚なきまでに「人の役に立たないこと」に本気でこだわって考えはじめると、難しいなと思う。「人のやくに立たないこと」「不能」と、その質のようなことについて考えている。単にだらだらしたり下品になることなく、がんばった感の何倍も役に立たなさを発散させることが出来る作業ってなんだろう。刻々と映ろう曙光の下の毎朝のうんこを印象派の技法に則り油彩で描写しつづける、だとか、あるいは詩や歌に詠んでみるだとか、、なんだろう、この想像力の敗北感は。何に想像力は負けたのだろう、理想だろうか、怠惰であろうか。そして、いとも簡単に想像力のふちを歩き続ける旅行者たち、諸先生方の頭の中はいったいどうなっているのだろうか。



イカへんしん

 現場復帰とのことで、ますますの御活躍と御健勝お祈り申し上げます。
 アタスのほうは相変わらずこんな感じで申し訳ないです。先ほどまでWCアルゼンチン戦を観戦しとりましたが、メッシ奉公の尊い現場に復帰される○○さまの御前で「人の役に立たないことを考える」だとか、毎度心苦しい限りです。それにしても○○フドーと一発で看破されたのにはお手上げですw 風景を撮影してる写真については、なんとなく「どこでもあるような、どこでもないような風景」として見えるような雰囲気を心がけて投稿するようにしているのですが、バレバレでしたか。。 坂が多いのと下町っぽい感じはそうですね、分ります。近所に「車」って書いてある怪しい喫茶店があると思うのですが、、前々から気になっているのですが未だに怖くて入れません。 それから近場だと、h台の商店街の雰囲気も好きなんです。妙に埃っぽいというか、下町っていうより地方都市の場末っぽさがあるというか、道幅とか妙に広くて間延してて、微妙な違和感と長閑さに同時に浸れる感じがとても好ましく思っております。