風は頁をめくるが、読むことはできない




 東に行きたいなっていう気持ちはあるんだけど、やっぱり坂がいやで西の方へ出かける。曇りときどき雨。ものすごく冷える。場末to場末、地味な町並みをずっと走っていった川沿いにて、小さな古書店が通行者に向かって無差別に、なにやらゴリゴリしたかっこいいメッセージを発信していた。「風は頁をめくるが 読むことはできない」。 ほんとそうですよねつうか、正論すぎてぐうの音も出ないつうか。薮から棒ならぬ薮から正論つうか。ミもフタもないつうか、この存在感はまるでキリスト看板みたいだ。 かつてあった店名は色褪せてしまい、今はこの店主からの情熱的なメッセージだけが看板に残されているのだろうか。。 しばし足をとめ、この出合い頭のカウンターパンチと折からの冷たい雨に呆然と打ちひしがれた。


 それから並びのお店との関係がいいんですよね。「風は頁をめくるが 読むことはできない 焼肉ジュージュー苑」。まるで戦争でもしてるみたいで。これが魂と肉体の相克ってやつですかね。。 いや、この両者は言い方を変えてるだけで、案外、同じなにかを伝えようとしてるのかも知れない、道行く旅人たちへ。。とにかく今日は寒かった。家についたら、すっかりぐったりしてしまった。